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SPECIAL DIALOGUE

社会経済の未来への語らい

外部識者×プロネクサス 特別対談

これから社会経済はどのように変化し、資本市場や上場会社はどのような課題に直面するのか。
資本市場の最前線で、これまでさまざまな課題解決に取り組んできた二人が語り合います。

PROFILE

エミネントグループ株式会社 代表取締役社長CEO
小野塚 惠美

外資系運用会社に長らく籍を置き、機関投資家として20年以上の経験を持つESG投資の専門家。2022年に独立し、エミネントグループにてサステナブルな社会の実現を目指し、社会と投資家をつなぐためのアドバイザリーを行う事業を開始。2024年からプロネクサスの社外取締役を務める。

株式会社プロネクサス 常務執行役員
髙松 純

1998年に新卒でプロネクサスに入社。上場会社のディスクロージャー(情報開示)支援やIPO(新規株式公開)の支援に従事した後、事業企画室にて新規事業の企画開発を手がけ、新たな事業領域であるIR(投資家向け広報)支援の部門に所属。その後、社長室、経営企画管理部長を経て、常務執行役員に就任。

CHAPTER 1

いま注目すべき、
社会経済の変化とは

時代に応じて社会経済は絶えず変化していますが、
お二人が注目しているトピックスを教えてください。

小野塚

いま社会経済を語る上で外せないキーワードは「持続可能性」です。気候変動などの環境問題を解決しなければ、もはや地球は持続しないでしょうし、人権や貧困などの社会問題を解決しなければ、世界経済は持続しない。かつて、こうした問題に対しては一部のモラルの高い企業や団体が率先して取り組んでいましたが、いまやあらゆる活動において、地球や社会の持続可能性を意識しなければならず、企業には「外部性の内部化(※)」が求められています。

(※)外部性とは、企業の経済活動がまったく関係のない第三者に利益をもたらすことや(外部経済)、逆に環境破壊などで悪影響を及ぼすこと(外部不経済)を指す。これらを自社のコストとして取り込んでいくことを「外部性の内部化」と呼ぶ。

髙松

地球や社会の持続可能性について言えば、昨今進んでいる温暖化を防ぐカーボンニュートラルの実現が世界的な目標となっています。企業活動によって排出されるCO2についても、単にルールを守るだけではなく、自らCO2削減に積極的に投資して社会にポジティブな影響を与えようとする企業も増えてきました。こうした動きはこれからいっそう活発になっていくでしょうし、もはや地球や社会の持続可能性に配慮しない企業活動は許されない時代になっています。

小野塚

おっしゃる通りです。くわえて、社会経済活動における地政学的なリスクも以前と比べて増大しています。これまで世界経済はグローバリゼーションの一途をたどり、アメリカを中心とした秩序が形成されてきました。しかしいま、米国に依存し過ぎたために不均衡が生じ、その秩序が崩されようとしている。反動で世界各国が内向きになって自国の利益を優先する傾向が強まっており、社会経済にも大きな影響を及ぼしていくものと考えられます。

髙松

確かに、いま世界は危ういバランスの上にあると感じますね。各地で起こる国際紛争によってグローバルでのモノの供給が滞り、あるいは地球温暖化による気候変動で農作物の不作なども続いており、これまで当たり前に享受できていたことが突然失われる世の中になってもおかしくはない。企業もそれを意識せねばならず、将来のリスクを抑えるためにもESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みがより重要になるのではないでしょうか。

小野塚

いま髙松さんからESGについて言及がありましたが、そのうちのGを意味するガバナンス(企業統治)もますます重要な観点になっていくと思います。ガバナンスというと難しく聞こえますが、簡単に言えば、その企業が何を実現したいのかを明らかにして、そこに向かうための仕組みをつくることです。企業が実現したいことを自ら明文化したパーパス(存在意義)が昨今注目されており、パーパスに基づいた経営がいっそう必要とされています。

髙松

変化の激しいこの時代だからこそ、パーパスが大切になっているのだと思いますね。社会における自らの存在意義が明らかになっていれば、そのために取るべき行動もおのずと明確になっていきます。プロネクサスの場合、私は「企業と、企業を取り巻くさまざまな社会のステークホルダーとのコミュニケーションを支える」ことがパーパスだと考えています。主要事業である「株主・投資家向けの情報開示インフラ」としての役割もその一つですし、すべての事業はそこにつながっていく。私もプロネクサスの経営に関わる立場として、このパーパスを常に意識しています。

CHAPTER 2

資本市場や上場会社が
直面する新たな課題

企業活動にも「持続可能性」の観点が求められるとのことですが、
資本市場と上場会社はどう対応すべきなのでしょうか。

小野塚

地球や社会の持続可能性を高めるためのESGを意識した経営を、上場会社は特に強く志向する必要があると思います。というのも、2006年に国連が「責任投資原則」を発表し、資本市場の主要プレイヤーである機関投資家に向けて、企業への投資にあたってESG課題への取り組みを重視すべきという指針を打ち出しました。以降、ESG課題への取り組みが資本市場からの資金調達に大きく影響するようになり、新たな経営の視点として上場会社の間で強く認識されています。

髙松

それにともない、上場会社が資本市場に向けて開示する情報も変化しています。かつては法律で開示が定められた財務情報だけを資本市場に向けて発信していればよかったのですが、ESG課題への取り組みが重視されるようになり、自社の企業活動が環境や社会にどう良い影響を及ぼしているのかなど、非財務情報を資本市場から求められるようになりました。そこに明確な開示ルールはなく、どのように市場に伝えていくかを悩まれている企業も多く見受けられます。

小野塚

私は過去、外資系運用会社で資産運用におけるESG投資の発展の過程を見てきました。その際、責任投資原則が市場に浸透するにともない、ただ運用収益を追求するのではなく、機関投資家自ら投資先に接触して、ESG課題への取り組みをチェックし、促す動きを目の当たりにしました。それが投資先である企業と運用パフォーマンスの持続可能性をもたらして、結果として運用収益向上にもつながっていく。こうしたエンゲージメント(対話)がいま非常に盛んになっており、そこにしっかりと対応していくことも上場会社に求められています。

髙松

資本市場との対話がますます重要になり、自社の価値をきちんと伝える能力が企業にも求められているというわけですね。日本の上場会社の多くは、まだまだそれが不得手なように受けとめています。投資家からの「御社のそもそもの価値は何ですか?」という本質論的な質問に対して、説得力があり、なおかつわかりやすい回答で支持を得ていくコーポレート・コミュニケーションの重要性が高まっており、それを強化していくことは日本企業に共通する課題だと捉えています。

小野塚

資本市場とのコミュニケーションにあたって、自社の「価値」を明らかにすることは非常に大切です。よく「技術力が高い」ことを標榜する企業が見受けられますが、それだけでは市場に響かない。その高い技術力をもって、どんな製品を生み出し、それによってどう社会を変えていくのか、一連のストーリーで伝えていくべきであり、あわせて自社の強みを市場視点で再定義して訴えていくことが、これから日本の企業が取り組むべき最重要テーマの一つだと考えています。

髙松

我々プロネクサス自身も、ステークホルダーに提供する価値をより明確に定義し、ストーリーを構築していく必要があると思っています。プロネクサスは日本の多くの上場会社のお客さまとお付き合いがあり、そのほとんどが継続取引です。かつ、長年にわたって安定した事業基盤を築き上げ、財務体質もきわめて健全。だからこそ新しい事業に果敢に投資できるのであり、こうしたストーリーを市場に伝えていきたいですね。

CHAPTER 3

この国のために
私たちが担うべき役割

これからの時代にプロネクサスが貢献できること、
そしてプロネクサスを通してお二人が実現したいことは何ですか。

小野塚

いま日本の上場会社は、資本市場における投資家との対話がいっそう求められています。説得力のあるストーリーを伝えることができなければ、自社への評価が下がってしまう状況において、それを的確にサポートできる専門企業は日本にはまだまだ少ないと思います。ディスクロージャー(情報開示)支援で豊富な実績を持ち、資本市場とどうコミュニケーションすべきかを熟知しているプロネクサスが力になれることは、たくさんあるのではないでしょうか。

髙松

その通りです。プロネクサスは日本の上場会社2,200社以上をお客さまに抱え、ディスクロージャー支援によって密なリレーションを築いています。私たちの主力サービスは、お客さまの財務・非財務情報をお預かりして、開示書類の作成をサポートしていくことですが、最近ではIR(投資家向け広報)の領域でどんな情報をどのように発信すれば資本市場に適切に伝わるのかコンサルティングし、コンテンツとして形にすることにも取り組んでいます。

小野塚

私がプロネクサスの社外取締役就任のオファーをお受けしたのは、この企業には社会を変えられるだけのポテンシャルがあると感じたからです。日本の上場会社の半数以上に影響力を持つプロネクサスが、ディスクロージャーのあり方を変革して、資本市場とのコミュニケーションをもっと洗練させることができれば、日本経済に大きなインパクトをもたらすことになる。それを実行できる体制づくりに社外取締役として貢献していく所存です。

髙松

いま小野塚さんがおっしゃった通り、プロネクサスが日本経済にもっと貢献できる存在になるためには、我々自身も変革しなければなりません。もはや私たちの事業にITは不可欠であり、DXをいっそう推進していくことも我々にとってきわめて重要です。たとえば、法定開示書類の作成についてもAIを活用することで業務効率化を図りつつ、私たちがもっとお客さまへのコンサルティングに力を注いでいける体制にしたいと考えています。それが開示の質的向上につながり、ひいては資本市場の健全な成長に寄与する。これはプロネクサスが果たしうる大きな使命であり、発揮したい「価値」でもあります。

小野塚

余談ですが、私は海外に出張する機会も多く、そのたびに日本の素晴らしさを感じています。一方で為替レートによる購買力の低下で残念な思いも味わっています。これは単なる金利差の問題ではなく、日本の素晴らしさがディスカウントされている(割安=伝えきれていない)からではないかと思います。日本企業には優れた資産がたくさんあり、特にわが国の人財はとても優秀です。その人財の能力をもっと発揮させるためには、企業自身が変わらなければならず、資本市場は企業の変革の後押しができるはずです。私は、資本市場を通じて企業に活力をもたらすことに貢献し、日本をさらに評価される国にしたいと思っています。

髙松

私も同じ思いです。私たちが取引する上場会社のなかには、地方に本社を構え、一般には知名度のないBtoBのお客さまもいらっしゃいます。そのなかには、志をもって社会に貢献していこうとされている企業も多く、そうしたお客さまの魅力や価値を、私たちが培ってきた情報コミュニケーションの力でもっと社会に伝えていくことを支援したい。それによって新たな投資を呼び込み、新しい人財の採用につながれば地方創生にも貢献できますし、そうした取り組みを重ねて日本経済を活性化していきたいですね。

FINAL CHAPTER

対談を終えて

~これからを担う世代に伝えたい思い~

企業にパーパスが求められるように、個人もパーパスを掲げて生きるべきだと思っています。私のパーパスは「一人ひとりが幸せを感じられる社会をリードする」ことで、そのためにできることをいろんな角度から挑戦しています。皆さんも広い視野をもって、できれば日本という枠を超えて自分のパーパスを見出し、日本に貢献できる人になってほしいです。(小野塚)

これまでの延長線上や、見えている視界の範囲には必ずしも正解は存在しない。そんな時代だと思います。これから社会に出る若い方々には、自分がゲームチェンジャーとなって既存の社会の枠組みを変えることに挑み、より良い世界をつくっていくのだという気概をもってほしい。プロネクサスは、そんな志ある皆さんに選んでいただける企業でありたいと思っています。(髙松)