時代に応じて社会経済は絶えず変化していますが、
お二人が注目しているトピックスを教えてください。
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小野塚
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いま社会経済を語る上で外せないキーワードは「持続可能性」です。気候変動などの環境問題を解決しなければ、もはや地球は持続しないでしょうし、人権や貧困などの社会問題を解決しなければ、世界経済は持続しない。かつて、こうした問題に対しては一部のモラルの高い企業や団体が率先して取り組んでいましたが、いまやあらゆる活動において、地球や社会の持続可能性を意識しなければならず、企業には「外部性の内部化(※)」が求められています。
(※)外部性とは、企業の経済活動がまったく関係のない第三者に利益をもたらすことや(外部経済)、逆に環境破壊などで悪影響を及ぼすこと(外部不経済)を指す。これらを自社のコストとして取り込んでいくことを「外部性の内部化」と呼ぶ。
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髙松
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地球や社会の持続可能性について言えば、昨今進んでいる温暖化を防ぐカーボンニュートラルの実現が世界的な目標となっています。企業活動によって排出されるCO2についても、単にルールを守るだけではなく、自らCO2削減に積極的に投資して社会にポジティブな影響を与えようとする企業も増えてきました。こうした動きはこれからいっそう活発になっていくでしょうし、もはや地球や社会の持続可能性に配慮しない企業活動は許されない時代になっています。
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小野塚
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おっしゃる通りです。くわえて、社会経済活動における地政学的なリスクも以前と比べて増大しています。これまで世界経済はグローバリゼーションの一途をたどり、アメリカを中心とした秩序が形成されてきました。しかしいま、米国に依存し過ぎたために不均衡が生じ、その秩序が崩されようとしている。反動で世界各国が内向きになって自国の利益を優先する傾向が強まっており、社会経済にも大きな影響を及ぼしていくものと考えられます。
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髙松
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確かに、いま世界は危ういバランスの上にあると感じますね。各地で起こる国際紛争によってグローバルでのモノの供給が滞り、あるいは地球温暖化による気候変動で農作物の不作なども続いており、これまで当たり前に享受できていたことが突然失われる世の中になってもおかしくはない。企業もそれを意識せねばならず、将来のリスクを抑えるためにもESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みがより重要になるのではないでしょうか。

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小野塚
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いま髙松さんからESGについて言及がありましたが、そのうちのGを意味するガバナンス(企業統治)もますます重要な観点になっていくと思います。ガバナンスというと難しく聞こえますが、簡単に言えば、その企業が何を実現したいのかを明らかにして、そこに向かうための仕組みをつくることです。企業が実現したいことを自ら明文化したパーパス(存在意義)が昨今注目されており、パーパスに基づいた経営がいっそう必要とされています。
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髙松
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変化の激しいこの時代だからこそ、パーパスが大切になっているのだと思いますね。社会における自らの存在意義が明らかになっていれば、そのために取るべき行動もおのずと明確になっていきます。プロネクサスの場合、私は「企業と、企業を取り巻くさまざまな社会のステークホルダーとのコミュニケーションを支える」ことがパーパスだと考えています。主要事業である「株主・投資家向けの情報開示インフラ」としての役割もその一つですし、すべての事業はそこにつながっていく。私もプロネクサスの経営に関わる立場として、このパーパスを常に意識しています。









企業にパーパスが求められるように、個人もパーパスを掲げて生きるべきだと思っています。私のパーパスは「一人ひとりが幸せを感じられる社会をリードする」ことで、そのためにできることをいろんな角度から挑戦しています。皆さんも広い視野をもって、できれば日本という枠を超えて自分のパーパスを見出し、日本に貢献できる人になってほしいです。(小野塚)
これまでの延長線上や、見えている視界の範囲には必ずしも正解は存在しない。そんな時代だと思います。これから社会に出る若い方々には、自分がゲームチェンジャーとなって既存の社会の枠組みを変えることに挑み、より良い世界をつくっていくのだという気概をもってほしい。プロネクサスは、そんな志ある皆さんに選んでいただける企業でありたいと思っています。(髙松)